韓国の文化 韓国の伝統芸能や、音楽、踊りには、邪気をはらい福を祈る人びとの願いがこめられています。この思いは、美術や工芸作品だけではなく、日常生活のいたるところでうかがうことができます。それは、見る人に温もりや心地よさをあたえてくれます。

伝統的な音楽と舞踊


 古くから伝えられてきた韓国の伝統芸能として、タルチュム(仮面劇)やパンソリ、国楽、俗楽などがあげられる。かつてはこれらにたずさわる専門の芸能者が、祭りや正月、 節句などの行事のときにやってきて、地域の邪気を払い福を招くための祈りとして演じてきた。
 タルチュムは鮮やかな衣装をつけた演者たちが、仮面をつけてダイナミックに舞踊るもので、主な登場人物は特権階級の両班や破戒僧、道化など。 わいせつな言葉をつかったり、 身分の高い人を批判したりして、庶民の笑いをさそうものが多い。
 パンソリは歌い手(語り手)と太鼓をたたく人がペアになって演じる唱劇で、歌い手が手振り身振りをまじえた節回しで、ひとりで何役も演じわけながら、物語を語り歌うもの。身分の違う男女の恋愛をあつかった『春香歌』や、目の不自由な父親と娘の愛情をあつかった『沈清歌』が有名。
 韓国の伝統的な音楽は、主に宮廷などで行われてきた国楽と、民謡サンジョ(散調)、シナウィ(巫楽)、ノンアク(農楽)などの俗楽にわけられる。このうちのシナウィは、ムーダン(巫女)が歌ったり踊ったりしながら神と一体となり、おはらいや占いをするムーダングッの音楽として伝えられている。ノンアクは田植えや収穫、祭りのときなどに太鼓やドラ、ラッパなどを演奏して各家をまわるときの音楽。
 ソウルには国立の国楽中学・高校があり、 伝統的な音楽や舞踊を教え、後継者を育てている。ここではカヤグムやコムンゴという琴、横笛やたて笛、ヘグムという弦楽器、舞踊、パンソリなどのクラスがある。


タルチュム


邪気をはらう聖なる色


 韓国の古い王宮や寺院の建物は、赤や黄、青、黒、白の5色からなる幾何学模様で飾られている。この文様は、古くは三国時代の古墳の装飾壁画にも見られる。また、この5色は、邪気をはらって幸運を招くための聖なる色として、朝鮮王朝末期までは王宮や寺院だけに限って使用された。
 現在、この5色は韓国の民族を象徴する色として、いろいろなところに使われている。子どもの晴れ着
であるセクトンチョゴリ、ムーダンの衣装から寝具にいたるまで、また宮廷料理をはじめ庶民的なビビンバブにまで、この5色を見ることができる。
 パッチワークキルトのように、布の切れ端をぬいあわせて、物を包んだり被せたりする生活用具として使われてきたポジャギも、この5色を基本にしている。朝鮮王朝の時代に家庭の婦人たちがつくったのが始まりで、中には抽象画家のモンドリアンやパウル・クレーを彷彿とさせる洗練された美しさをそなえたものもある。
 邪気をはらって福を求める人びとの祈りは、いろいろな模様の形としても表現されている。縁起のよい文様としてジグザグの紋や亀甲紋、菱形紋などは、装飾のデザインとしてだけでなく、窓や塀などによくつかわれている。また、幸福や長生きを象徴するシプチャンセン(十長生)として、日、月、山、水、石、不老草、松、鶴、亀、鹿、などがあげられ、これらは絵画作品をはじめ、いろいろなところにデザインされて使われている。



ポシャギ



塀にきざまれた十長生の図



温もりと味わいのある陶磁器


 韓国の古い王宮や寺院の建物は、赤や黄、青、黒、白の5色からなる幾何学模様で飾られている。この文様は、古くは三国時代の古墳の装飾壁画にも見られる。また、この5色は、邪気をはらって幸運を招くための聖なる色として、朝鮮王朝末期までは王宮や寺院だけに限って使用された。
 現在、この5色は韓国の民族を象徴する色として、いろいろなところに使われている。子どもの晴れ着
であるセクトンチョゴリ、ムーダンの衣装から寝具にいたるまで、また宮廷料理をはじめ庶民的なビビンバブにまで、この5色を見ることができる。
 パッチワークキルトのように、布の切れ端をぬいあわせて、物を包んだり被せたりする生活用具として使われてきたポジャギも、この5色を基本にしている。朝鮮王朝の時代に家庭の婦人たちがつくったのが始まりで、中には抽象画家のモンドリアンやパウル・クレーを彷彿とさせる洗練された美しさをそなえたものもある。
 邪気をはらって福を求める人びとの祈りは、いろいろな模様の形としても表現されている。縁起のよい文様としてジグザグの紋や亀甲紋、菱形紋などは、装飾のデザインとしてだけでなく、窓や塀などによくつかわれている。また、幸福や長生きを象徴するシプチャンセン(十長生)として、日、月、山、水、石、不老草、松、鶴、亀、鹿、などがあげられ、これらは絵画作品をはじめ、いろいろなところにデザインされて使われている。

(次ページへつづく)


高麗青磁の体験学習をする子どもたち